ミャンマーとの競合と上昇する最低賃金(ベトナム日本商工会より)

ミャンマー円借款再開のベトナムへの衝撃

さる4月21日に野田総理が来日中のミャンマーのテイン・セイン大統領と会談し、民主化への取り組みを評価し、1987年以来となる円借款を再開する方針を示したというニュースは、ここベトナムをも駆け巡った。

実は、ベトナムに進出している日本企業にとってもミャンマーへの関心は極めて高く、当会では、会員からの強い要望により、3月にミャンマーへの投資視察ミッションを2回派遣している。こうした動きは、ミャンマーの国会議員選挙の少し前から始まっていたが、円借款の再開により、さらに火がついた。

こうした企業のミャンマー投資の動きは、製造業、非製造業ともに、ベトナムでの事業を維持・発展させつつ、追加的にミャンマーでの事業に取り組み、リスク分散を狙いとするものである。

これまで、チャイナ・プラス・ワンの投資先として選ばれてきたベトナムであるが、タイ、マレーシアに対しては産業の上流、裾野の充実度、インフラ環境、法令整備などの面では相当の差がついているものの、人件費ではベトナムに依然利がある。また、カンボジアとは人材教育のレベルで、ラオスとは人口の集積度で、ベトナムにかなりの優位性がある。さて、ベトナムから見るミャンマーは、英語ができるなどの利点はあるものの、インフラ環境等ではまだこれから整備が必要な段階である。ASEANの後発組、低廉な賃金、人口数などで将来的にベトナムと競合してくる可能性はあるものの、当面ミャンマーは「ベトナム・プラス・ワン」という位置づけになりそうである。

 ▼今後の最低賃金改定の方向性について

 ベトナムの民間企業の最低賃金(2011年10月~2012年12月)は、地域により4段階に分かれており、都市部の第1地域で月額200万ドン(約7,800円)、農村部の第4地域で140万ドン(約5,500円)である(実際にはこれに各種手当が加算される。工業団地の高卒労働者の初任給は、全員一律の手当を加えると275万ドン程度)。

2011年のベトナム国内の物価上昇率は20%程度で、食料品、ガソリン等の生活必需品の値上がりが顕著であったため、最低賃金は予定を前倒して2011年10月に大幅に引き上げられた。その後、物価上昇率は小幅に抑えられており、賃金への不満を理由とするストライキも目立ったものは発生していない。

最低賃金について先日、当会の会合に出席した労働副大臣から、「都市部の生活には月額300万(約11,700円)ドンは必要で、現在の最低賃金では賄えない。今後段階的に最低賃金を上げ、法令上の最低賃金を都市生活で必要となる金額に2年で(その間の物価上昇も加味)追いつかせる方針」との発言があった。これにより、2013年1月に発表される予定の最低賃金は、当地企業が予想する金額を上回る可能性が高く、物価上昇が大きくなった場合は、予定を前倒して最低賃金調整が行われる可能性も残る。

ベトナムでは賃金水準(特に初任給)が低いため、最低賃金上昇率の数字が数十パーセントとなる傾向にあり、こうした数値が独り歩きする懸念もある。大卒の管理者等、既に最低賃金を大幅に上回っている従業員に対しては、彼らの給与改定にあたって誤解のないよう十分説明していく必要がある。

(日本商工会議所)

2012年5月17日 掲載


 







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